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導入9年のLEDビジョンの表示崩れを、AI(Claude)と2日間で直した話

執筆者の写真: 柏木|XIV代表
柏木|XIV代表
2 時間前
読了時間: 6分

導入から9年がたったLEDビジョンの表示が崩れ、AI(Claude)と一緒に2日間の現場作業で直しました。原因はLEDの故障ではなく、受信カードのプログラム(FW)と設定ファイルの組み合わせでした。現場から写真を送り、AIが読み解いて次の設定を返す。その往復で解決した記録です。

現場と症状

現場は都内のナイトクラブです。フロアの正面に、9年前に導入されたLEDビジョンが設置されています。

項目

内容

画面

横7×縦3=21キャビネット、896×384ピクセル

画素ピッチ

3.9mm

制御システム

NovaStar(送信カード MCTRL300、受信カード A4s)

設定ソフト

NovaLCT

相談を受けたときは、PCの画面を映すと絵がバラバラに崩れ、近づくと4行おきに暗い帯(縞)が入っていました。LEDが壊れたように見えますが、原因は「どのLEDにどの映像を送るか」という受信カードの割り当てにありました。

1日目:縞の原因を切り分ける

1日目は、縞の正体を絞り込むことに使いました。

  • 21枚の受信カードのプログラム(FW)を、同じ版にそろえました。縞は残りました。

  • 導入時の設定ファイルを、古い版のNovaLCT(V5.4.3)で送り直すと、縞が消えました。同じファイルでも、別の版(V5.2.0)で送ると縞が戻ります。

  • 古いNovaLCTは、そのままでは送信カードを認識しませんでした。裏で動くサービスを新しい版のものに差し替えて、ようやくつながりました。

縞が消えたあとも、各キャビネットの上半分に別の段の絵が出る「ずれ」が残りました。そこで、行と列の番号を書き込んだテスト画像を作って全画面に映し、写真から「どのモジュールにどこの絵が出ているか」を読めるようにしました。

1日目はこの「ずれ」1点まで絞り込み、次に試す設定ファイルを20通り用意して終わりました。

2日目:FWを新しくして見えた「右側だけずれる」問題

2日目は、受信カードのFWを新しい版(4.6.1.0)に上げるところから始めました。現場から出たアイデアです。

  • MCU(カードの制御プログラム)を書き換えると、カードに保存された設定が消えます。正しく出始めていたキャビネットも、更新後に崩れました。

  • 導入時のFWに戻すと、左半分は全段正しく、右半分は映らない状態。元のFWが手元に残っていたので、巻き戻しはできました。

  • FW 4.6.1.0に上げ直して元の設定を送ると、左列は正しく、右列だけ段の順番がずれました。

全面を赤で光らせるテストでは、どのキャビネットも右列の上から2段目だけが消えていました。右列のユニットに割り当てた番号が、実際には2つずれた段の絵を出していたのです。ところが設定画面の「データ組の交換」表は4行しかなく、ずらした番号(9以上)を入れられませんでした。

解決のカギ:16枚構成の仮想キャビネット

突破口は、現場から出た「8枚構成ではなく、16枚構成にできないか」というアイデアでした。

キャビネットの実物は、64×32ピクセルのユニットが横2×縦4の8枚です。設定の上だけ縦を倍の256にすると、カードは横2×縦8=16枚のキャビネットとして扱います。下の8枚は実在しませんが、交換表が8行(番号16個)に増え、右列にずらした番号を書けるようになりました。

仮想キャビネット(16枚構成)の図。実物は64×32pxのユニット横2×縦4の8枚。設定上だけ縦を倍にして横2×縦8の16枚として扱い、右列の番号を8〜11から10〜13へ2つずらした

図:設定の上だけ縦を倍(256px)にすると、受信カードは横2×縦8=16枚のキャビネットとして扱います。下の8枚は実在しませんが、交換表が8行に増え、右列の番号を2つずらして書けるようになりました。

右列の段

元の設定の番号

実際に出た絵

新しい設定の番号

1段目

8

4段目の絵

10

2段目

9

なし(消灯)

11

3段目

10

1段目の絵

12

4段目

11

2段目の絵

13

番号は設定ファイル内部の値です。この設定を送ると、全段・全列が正しく並びました。途中で試した「縦横とも倍」の設定では、右列が直る代わりに左列が崩れ、それが「縦だけ倍」にするヒントになりました。

LEDビジョンを運用する方へ:今回わかった5つのポイント

古いLEDビジョンの表示が崩れたときに、まず確かめてほしいことです。

  1. 表示崩れは、LEDの故障とは限らない。 受信カードのFWと設定ファイルが合っているかを先に疑う。

  2. 設定ソフトは、版によって結果が変わる。 今回は、FWの更新は新しい版、設定の送信は古い版と使い分けました。

  3. 受信カードのMCUを更新すると、カード内の設定が消える。 正しく映っているカードは触らない。

  4. 正しく映るまで「固化」しない。 固化(カードへの保存)をしなければ、電源を入れ直すだけで元に戻せます。

  5. 導入時の設定ファイルとFWを保管しておく。 今回は元のファイルが残っていたので、比較と巻き戻しができました。

受信カードや電源ユニットなど、部品ごとの寿命と交換時期は「LEDビジョンの寿命を左右する消耗部品と交換時期」で解説しています。

縦線やドット抜けなど症状別の切り分けは「LED表示に縦線・ドット抜けが出たときのチェックリスト」、NovaStarの入力・スケーリング設定の基本は「NovaStarコントローラーの基本設定」でまとめています。

AIと現場の二人三脚

今回の作業は、現場の担当者とAI(Anthropic社のClaude)の往復で進めました。現場が試して撮り、AIが読んで次の設定を作る。この繰り返しです。

役割

現場(人)

AI(Claude)

見る

壁の全体とアップ、設定画面を撮って送る

写真の番号から、どのユニットにどの絵が出ているかを読む

考える

発想(FWの更新、16枚構成)と最終判断

設定ファイルの中身を読み、原因の仮説を立てる

作る

設定の送信、FWの書き込み、安全の確認

試験用の設定ファイルを作り、現場PCのデスクトップに直接置く

2日間でやり取りした写真・画面は約230枚、AIが作った設定ファイルは約50個です。

AIも間違えます。今回も、MCUをすべて更新する案にAIが賛成し、正しく映り始めていた状態を消してしまいました。AIの提案は仮説として扱い、1回に1か所ずつ実機で確かめる。この進め方が最後に効きました。

よくある質問

Q. LEDビジョンに縞が入るのは故障ですか?

故障とは限りません。今回は受信カードのFWと設定ファイルの組み合わせが原因で、LEDそのものは正常でした。

Q. 受信カードのFWを更新するときの注意は?

MCUを更新するとカード内の設定が消えます。元の設定ファイルとFWを手元に置き、正しく映るまで固化しないことが大切です。

Q. AIは修理にどう使いましたか?

現場の写真や設定画面を送り、AIが表示のずれを読み解いて試験用の設定ファイルを作りました。判断と作業は現場が行いました。

まとめ

9年前の機材でも、原因を一つずつ切り分ければ直せます。今回は、現場の経験から出たアイデアと、AIの速い分析がかみ合いました。

XIVでは、故障箇所の写真を送るだけの無料写真診断も行っています。他社製・保証切れのLEDビジョンもご相談いただけます。

古いLEDビジョンの表示崩れや、設定の中身がわからないといったお悩みがあれば、XIVまでお気軽にご相談ください。無料相談・お問い合わせはこちら

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